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『ウェインズ・ワールド2』(1993年)

原題:Wayne's World 2

監督:スティーヴン・サジーク 脚本:マイク・マイヤーズ、ボニー・ターナー

出演:マイク・マイヤーズダナ・カーヴィ、ティア・カレル、クリストファー・ウォーケン

低予算で作った『ウェインズ・ワールド』が思いもよらない大ヒットになったため、急いで翌年に製作した続編だが、アメリカでも興行的にはコケたらしい。日本では劇場公開すらなかったのにDVDが発売されているのは、4年後の『オースティン・パワーズ』でマイク・マイヤーズが一躍日本でもメジャーになったからだろう。

ストーリーはよくあるパターン。というより、ウェイン(マイヤーズ)が「神のお告げで、ロック・コンサートを開くんだ!」と言い出したあたりで、映画のラストはそのロック・コンサート大成功の場面で終わるだろうというのは、普通、想像がつく。ギャグの方は、正直言って言葉で笑わせるジョークは全然面白さが分からなかった。これは英語の慣用句や言葉遊びなんかが分かる人なら、笑えるのかもしれない。一方、パロディやナンセンスなシチュエーションからくる笑いは視覚的なので分かりやすく、バカバカしいという気持ちを乗り越えれば?かなり笑える。日本人が観てて引く要素としては、主演の二人(マイヤーズとカーヴィ)の妙なタメの入ったオーバーアクションだろうか。

この映画の主人公のウェインとガースというキャラクターは、TVショー「サタデー・ナイト・ライブ」から生まれたキャラクターである。アメリカの観客は当然、既にテレビで知っているキャラクターを観るために来るわけだが、日本ではそもそも「サタデー・ナイト・ライブ」自体が地上波ではやっていないので、アメリカで大ヒットした前作でさえ、日本ではほとんど受けなかったのも無理はない。この映画に出てくるポップ・カルチャー・ネタも、映画ファンやロック・ファンであればこそ笑えるものが多い。

一見、この映画はいかにもアメリカ的なノリのコメディで、日本人には馴染めないように見えるが、実は日本でもかつてこのタイプの笑いがお茶の間で受けていた。「サタデー・ナイト・ライブ」の寸劇(skit)のスタイルは、かつてのドリフや志村けんのコントに極めてタイプが似ている。いや、ドリフや志村けんの方がこれらアメリカの寸劇を参考にしていたのだろう。ドリフの笑いは、近頃の吉本系芸人よりもはるかに欧米的なスタイルを持っていた。

当時若くてセクシーだったキム・ベイシンガー、同じく若く可憐だったドリュー・バリモアが出演している。他にもチャールストン・ヘストンが驚きのカメオ出演。これは結構笑えるシーンで、本人もノリノリだったらしい。エアロスミスも登場(演奏場面あり)、と出演陣は豪華。

ウォーケンの役は、ウェインの恋敵の音楽プロデューサー。一番の見せ場はティア・カレルとのダンス・シーンだろう。しかし、正直言ってウォーケンの使い方はもったいない。キャラクターにしろ演技にしろ、期待したほどコミカルではなく、むしろカッコよく撮られてしまっている。サジーク監督は、元々ウォーケンのファンで、初対面の時は歯がガチガチ鳴るくらい緊張していたらしい。当時のウォーケンはまだコメディ映画にはほとんど出演していないし、サジーク監督自身が「神話的俳優」と評するくらい恐れ入ってる状態では、遠慮してしまってコミカル演技を演出できなかったのだろうか。

しかし、おそらく本人は、思いっきりはじけたコミカル演技をやりたかったはずだ。この役でウォーケンは大きな石のついた指輪と黒革のバンドの腕時計をしているが、この二つは翌年公開のコメディ映画『恋の選択』でも使用されている。つまり、おそらく私物で、役作りのための小道具だろう。『恋の選択』では、ふっきれたコミカル演技を伸び伸びと演じている。『ウェインズ・ワールド2』の音楽プロデューサーの方も、もっとエキセントリックでアクの強いキャラクターにした方が、映画としては面白くなっただろう(その場合は、主演のマイヤーズが喰われてしまう可能性があるが)。

特にもったいなく思うのは、ウェインたちを追ってウォーケンがゲイバーに入る場面だ。ここでのウォーケンは、続くウェインたちのパフォーマンス(ゲイたちと「YMCA」を踊る)を引き出すためだけの役割しかない。ウォーケンとゲイ・ボーイとの絡みを入れるとか、いくらでも盛れそうなのだが。

まあ、脚本はマイヤーズなので、どうしてもマイヤーズとカーヴィの出演場面が笑いの中心になるのは仕方ないのだろう。

DVDにはその後の出演者のインタビューも入っているが、ティア・カレルがフェイスリフトのツルツル顔になってしまっていたのがかなり衝撃だ。

ウェインズ・ワールド2 スペシャル・エディション [DVD]