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『ランダウン』(2003年)

2000年代 アクション コメディ

原題:The Rundown

監督:ピーター・バーグ 脚本:R・J・スチュワート、ジェームズ・ヴァンダービルト

出演:ザ・ロックドウェイン・ジョンソン)、ショーン・ウィリアム・スコット、クリストファー・ウォーケンユエン・ブレムナー

アメリカのプロレス団体WWEが当時所属レスラーだったザ・ロックを主演に製作したアクション映画。

アメリカの映画俳優は、男優と女優ではギャラに数倍の差があるというニュースがしばらく前に話題になっていた。また、一本の映画中の男優と女優の人数比も相当差があるという。なぜそんなことになるかというと、つまりアメリカで最も人気があり観客動員数が見込めるのがアクション映画であることがその原因らしい。つまり女優はそれほど多くの需要がなく、「若くて美しい」ということにしか付加価値がないのであれば、代りはいくらでもいる。高額のギャラを払ってでも出演して欲しい“オンリーワン”の女優などほとんどいないから、というのがいわゆる「男女格差」の理由らしいのだ。そして、この映画の主演であるドウェイン・ジョンソンは、フォーブス誌の「最も稼いだ男優2016」の1位なのだ。

俳優としてのジョンソンのことも、レスラーだった「ザ・ロック」時代のことも全く知らずにこの映画を観たわけだが、確かにアクション・スターとしての有望さを感じる。派手なアクションがこれだけ出来て、顔も整っていてハンサムだ。おまけにユーモアのセンスがあるので、コミカルな場面もこなせる。この映画はワイヤーアクションが多いが、ジョンソンはなるべくスタントマンを使わない主義だというから、監督にとってはありがたいタイプだ。メイキング映像でのインタビューを観ても、受け答えに知性が感じられる。すでにレスラーとして知名度も人気もあった訳だし、シュワルツェネッガーやスタローンが高齢になって空いてしまった“肉体派アクション・スター”の座にジョンソンが着いたのは当然といえば当然だろう。

この映画は日本では興行的にコケたようで、レヴューもあまり評価が良くないようだが、実際観ての感想としては、結構面白い映画だと思う。100分ほどの映画だが、大体10分おきぐらいに派手なアクション・シーンかコミカルなドタバタ・シーンが挿入されるので、退屈しない。アクション・シーンも、肉体を駆使したアクロバティックな格闘でほとんどの場面を持たせていて、銃を使うのは最後のクライマックスだけだ。そのおかげで、様々な独創的なアクションを観ることができる。カンフーが混じったアクションも、シリアスなものからネタ的なものまでいろいろあって面白い。

脇役でユエン・ブレムナーが出演してるのが嬉しい。ブレムナーの出演作を観たのは『トレイン・スポッティング』以来だ。強烈なスコティッシュなまりの英語に、特徴ある出っ歯。本当にユニークな俳優だ。イカれた現地ガイドの役だが、最後、バグパイプを抱えてキルト姿で登場。しかもセリフには文学的な詩の一節まで入っていて、結構いい扱いだ。この監督はなかなかセンスがいい。

ウォーケンのセリフに「ウンパ・ルンパ」が入ってるのも、トリビアっぽくていい。ウォーケンは『夢のチョコレート工場』(1971年)を観たことがなく、このセリフに最初抵抗感があったらしいが、監督からビデオを借りて観て、ようやく納得したらしい。『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』の翌年にこの映画に出ているのが、彼らしいところだ。アクションがメインの映画だから、大ヴィランとはいえ出演時間は多くはない。しかしセリフには独特のユーモアとセンスがあり、ウォーケンの個性を意識して脚本が書かれていると思う。

ジョンソンとウィリアム・スコットのやや変化球の“バディ”ぶりも、大笑いできる。ウィリアム・スコットは顔つきが「金持ちのバカ息子」役によく合ってる上に、なかなか演技力があるので、その自己中な言動に観ていてイラつくこと間違いなしだ。「モンキー」たちがコメディ部分にかなり寄与していて、ジョンソンも下ネタギャグで笑いをとっている。

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