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『ウェディング・クラッシャー』(2005年)

2000年代 コメディ

原題:Wedding Crashers

監督:デヴィッド・ドブキン 脚本:ボブ・フィッシャー、スティーブ・フェイバー

出演:オーウェン・ウィルソンヴィンス・ヴォーンレイチェル・マクアダムスクリストファー・ウォーケン、ブラッドレイ・クーパー、ジェーン・シーモア

日本では劇場未公開だが、アメリカでは大ヒットしたというコメディ映画。

ストーリーは単純だ。離婚調停の事務所のパートナーであるジョン(ウィルソン)とジェレミー(ヴォーン)は、週末になると、見ず知らずの他人の結婚式に親戚のふりをして紛れ込み、散々大騒ぎして飲み食いし、現場で目をつけた女の子を“お持ち帰り”する「ウェディング・クラッシャー」を繰り返している。ある時、財務長官(ウォーケン)の長女の結婚式が開かれると知り、ベンチャー企業の経営者と偽ってうまく紛れ込み、いつものごとく“お持ち帰り”を狙うのだが、二人がたまたま気に入ったのが、長官の次女クレア(マクアダムス)と三女グロリア(アイラ・フィッシャー)だった。ジェレミーはウェディング・パーティーですぐにグロリアと出来てしまうが、ちょっとイカれた彼女に異常に好かれ、執着されることになる。ジョンはクレアと仲良くなるものの、彼女には名家出身の恋人サック(クーパー)がいる。この恋人は、長官一家の前ではいい青年ぶっているものの実は性差別主義者で性格が悪い男という設定である。クレアに真剣に恋してしまったジョンは彼女に本当のことを打ち明けようとするが、その矢先にサックにより嘘つきであることがバラされてしまう。ジョンに魅かれていたクレアは傷つき、彼を避ける。しかし諦めきれないジョン。一方、グロリアを愛するようになったジェレミーは、ついに彼女と結婚する。その結婚式の式典の最中、ジョンはこらえきれなくなり、ジェレミーたちの式の進行を妨げるのもいとわず、クレアに愛を告白する。クレアもそれに応え、ついでにサックの性格の悪さもその場で明らかになり、長官も娘の幸せを願い二人の仲を認める。そしてジョンとクレア、ジェレミーとグロリアの四人は仲よく一台の車に乗り、去っていく…。

この映画は、実は“逆玉”の話である。ただし、観客には「本当の愛に目覚めた若者たち」の話に見えるように出来ている。なぜそう見えるかというと、まず主演二人(ウィルソンとヴォーン)が観客から好感を持たれる憎めないタイプであり、いっぽう財務長官一家は大金持ちのセレブだが変人ぞろいでかなり家庭内に問題を抱えている家庭として描かれている。この仕掛けによって、両者の経済的社会的不均衡が観客の主観において相殺される。そして長官一家と経済的社会的に釣り合ってる恋敵のサックが性格が悪く、彼との結婚はクレアにとって不幸な結末にしかならないことが随所で暗示されるので、“彼女の幸福のためには”ジョンと結ばれる方がはるかにいいことだと観客が思うようになるからである。

いくらコメディとはいえ、親友どうしの男二人が、そろってアメリカで指折りの大富豪の姉妹をそれこそ“仲良く分け合って”モノにするなんて、あまりにバカバカしく、かつエゲつなくて、日本映画じゃありえない設定だ。

しかしアメリカじゃ、製作費用を何倍も超えた大ヒット。アメリカ人ってノーテンキかつポジティブだ。

主役の二人、とくにオーウェン・ウィルソンのキャラクターに肩入れできるかどうかで、この映画に対する好感度も違ってくるだろう。

映画の前半まではテンポもよく、それなりに笑えるのだが、ジョンがクレアに本気になり出したあたりから、急にダルくなり、笑いも失速する。終盤、ジョンが自暴自棄になったり、クレアの婚約パーティーに潜入しようとするあたりには、もう完全につまらなくなる。ラスト、ジェレミーの結婚式でのジョンの告白場面は、早送りをしたくなるほど退屈。まあコメディ映画としては安心して観ていられる映画ではあるが。

オーウェン・ウィルソンは、見る角度によってはかなり鼻が曲がって見えるので、苦手な顔だ。しかしイケメン俳優扱いされているらしい。ヴィンス・ヴォーンは、サイコパスの役のイメージが強かったが、コメディもやれる器用な俳優だったとは意外だ。しかし相変わらず目つきが怖い。クセのある役どころはピッタリだ。

ブラッドレイ・クーパーは、この映画ではほとんど悪役扱いだが、強い印象を残している。正直、顔は主役の二人よりもあか抜けている。現在ではクーパーの方が俳優としてはいろいろな面で格上になった。

レイチェル・マクアダムスは肌が透明感があって綺麗だ。ウエストも細くくびれてスタイルがよい。ただ彼女の役は非常に受け身な性格であり、陽気ではあるが強さや個性がなく、結果的に容姿にしか魅力がない女のようにみえる。

主演二人のドタバタがメインだから、ウォーケンの役ははっきり言ってかなり添え物感が強い。というか、ウォーケンでなくてもいい役だ。ストーリーに大きかかわってくるかと思いきやそうでもなく、ネームバリューだけが期待されたように思える。これなら、まだ『燃えよ!ピンポン』のフェンの方がはるかにやりがいがありそう。だが「普通の人間(いい人)」の役だから、本人的には喜んで引き受けたのかもしれないが。

いろんな結婚パーティーのセッティングを見れるのは楽しい。あと、ジェーン・シーモアを久し振りに見た。雰囲気は『ドクター・クイン』の頃と変わってないが、顔がちょっと歪んでいるように見えるのが気になる。彼女のもっといい場面を観たかった。

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