『エクセス・バゲッジ/シュガーな気持ち』(1997年)

原題:Excess Baggage

監督:マルコ・ブランビヤ 脚本:マックス・D・アダムス

出演:アリシアシルバーストーンベニチオ・デル・トロクリストファー・ウォーケン、ハリー・コニック Jr.

アリシアシルバーストーンがアイドル女優だった頃の主演映画。富豪の娘エミリー(アリシア)が狂言誘拐を企てるが、偶然から車泥棒のヴィンセント(デル・トロ)を巻き込み、さらなる騒動に発展する。最初はいがみあっていた二人だが、次第にひかれあっていく…というありがちなパターンのラブ・コメディだ。だがアイドル映画っぽいとはいえ、車のトランクという舞台装置を効果的に使い、セリフも臭みがなく、結構よくできた映画だ。

アリシアの横顔の美しさは完璧といっていい。スタイルの方はどっしり型というか、それほどでもないが。しかし二十歳前後の若さの輝きに満ちていて、どの角度から見ても美しい。で、その眩いばかりのアリシアとは対照的なデル・トロ演ずるヴィンセントのヘタレたチョイ悪ニイちゃんぶりがまたいい。デル・トロは二枚目というよりは個性派で、よく彼を相手役にキャスティングしたものだと思う。だが、独特のゆっくりした気の抜けた感じの喋り方や、眠そうな目つき、ボサっとした“清潔感のない”冴えないビジュアルなど、アイドル女優の相手役っぽくないキャラクターなのがかえって良く、この映画を単なるアイドル映画になることから救っている。

アリシアの若さと美しさ、そしてデル・トロとウォーケンの魅力的な演技。この三人に支えられた映画といっていい。

ウォーケンはやや赤毛にしていて、ビジュアルは『ラストマン・スタンディング』のヒッキーに近い。まあたぶん撮影時期も近いのだろう。メジャー映画だと大概ギャングやヴィランの役になるのだが、この映画でもやはり、エミリーの叔父で裏稼業をやってる用心棒・レイという役柄だ。青白い顔色に薄い瞳の色が強調され、見た目は不気味でいかにも怖い職業の人風。メジャー映画ではタイプキャストされているうえに演技の自由度も少なそうだ。それでもやはりウォーケンの出てくるシーンは魅力的で、デル・トロとウォーケンの存在が、この映画のレベルを数段上げている。この映画ではレイとエミリーとの間の父娘的な人間関係も描かれていて、単なるコワモテだけでなく愛情が垣間見えるところがいい。メジャー映画だが主要人物はアリシア、デル・トロ、ウォーケンの三人に絞られているので、意外にそれぞれの表情など、じっくり演技を見せてくれる。ウォーケンは微妙な表情の変化で演技するタイプだから、この映画のように顔のクロースアップが多いと、細かい表情の変化が見れて見応えがある。

ハリー・コニック Jr.が脇役で出ている。たしか一時は日本でもイケメン・スター扱いだったはずだが、この映画ではあまり存在感がない。というか、彼でなくても良さそうな役だ。何を思ってこの映画に出演したのか…。

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